IKURA FAN MOTOR
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技術資料137技術資料各仕様に掲載しましたPs-Q特性曲線は、実測したデータの平均値で保証値ではありませんので装置設計検討時のファン選定の目安として下さい。風量測定方法は現在、ファンモーター業界で大半のメーカーが、米国の「AMCA STANDARD 210-85」に基づいたマルチノズルダブルチャンバー方式を採用し測定しています。本測定方法の起源は、「JIS-B-8330」に規定する風管方で、ピトー管又はオリフィスを使用した場合、少風量、微風量域での正確な値が得られない為、JISの中で付属解説している微風量域を正確に測定できる「AMCA STANDARD 210-85」規格によるマルチノズルダブルチャンバー方式を採用する経緯となっています。一部製品に風洞測定値を使用している製品もあります。測定方法を下記に示します。1. 風洞測定風洞測定は、円筒型の風洞中央にピトー管を設置し、風洞端にファンを取り付けダンパ側より吸込み、ピトー管部を通り吐出されます。ピトー管は、風洞中央部の管路抵抗の少ない所で測定するのが一般的で、最も管路抵抗の少ない風速の一番速い所で測定していますので、風量が高めに出ます。ダブルチャンバー測定と比較しますと、約2~3割高くなります。2. マルチノズルダブルチャンバー測定マルチノズルダブルチャンバー測定は、初めにマルチノズルを全閉状態にてチャンバーA 内に密閉環境を作り最大静圧を測定し、次に補助ブロワー及びダンパー開閉にてチャンバー内の圧力を自動制御することで、送風抵抗0の状態を作り出し空気流を平均化して最大風量を測定します。計測された最大風量より指定の測定ポイント数(弊社においては10ポイント測定)で最大風量を除算分割することで、10ポイント測定なら10箇所に除算分割したその各風量ポイント時における送風抵抗0の状態を、最大風量測定時と同様に補助ブロワー及びダンパー開閉、又その風量時における適正なマルチノズルサイズに変更することで作り出し、マルチノズル前後に配置している圧力計の圧力差を測定し演算することにより、パソコンとの連動で計測します。■ 静圧-風量特性の測定方法■ 静圧-風量特性について図1 風量測定装置ファンの選定でも触れていますが、管路中の空気をある一定方向に流そうとした場合、その流れとは逆に送風抵抗が発生します。この送風抵抗は、風量の2乗で増加していく関係があり、これが「システムインピーダンス」と呼ばれるもので、静圧がかかった状態のファン特性とシステムインピーダンスとの交点が「動作ポイント」となります。又、ファンを運転する上で、できれば動作させない方がよい領域がありますが、この領域を「サージング域」と呼び、サージング域に入る直前のポイントの事を「サージングポイント」と呼びます。このポイントより静圧特性がドロップダウンし終わるまでの領域がサージング域となります。これら一連の現象を「サージング現象」と呼びます。この現象はシステムインピーダンスを掛けた時、ある特定の領域で圧力が脈動し必要な空気量が得られずに息付きをし発生するもので、弊社が扱う小型のファンでは、静圧-風量特性が不安定になり若干騒音への影響があるレベルで収まりますが、数10m3/min.を発生するような送風機では、サージング現象を起こすと振動及び騒音を発し運転を継続することができなくなり、ファン等を損壊することもあります。次に風量は下記計算式で求められます。Q=60AVQ:風量(m3/min)A:ノズルの断面積πD2/4(m)V:ノズル出口の平均風速 V= 2・△Pn/γ(m/sec)γ:空気の比重(kg/m3) [20℃ 1気圧の時γ=1.2]△Pn:動圧(Pa)■ ファン動作ポイント図2 ファン動作ポイント

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