IKURA FAN MOTOR
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技術資料139技術資料■ 騒音■ 騒音の測定図1 騒音測定方法1.0m(DCブラシレスファン)1.5m(ACファン)ファンの騒音は、聴覚に近いとされる聴感補正回路のA特性[dB(A)]で表されます。騒音の原因は、ファン送風による吸排気音、機械的に発生する軸受音、電気的に発生する磁気音、筐体取付によって発生する共振音又は反響音及び、他の機器との相互間で発生する干渉音と様々です。この中の吸排気音は風量に比例関係であるため風量が増えれば吸排気音も大きくなります。又軸受音は、回転数が高くなれば高くなり、筺体への共振及び反響音等も発生しやすくなる傾向にあります。ファン自体が発する騒音として、最も影響を与えるのは吸排気音ですが、弊社のファンにおいては、高風量設計でありながら極力騒音を押さえた設計としています。又騒音は装置設計に依存する場合が多く、装置の初期設計が重要となり、騒音レベルを大きく左右する場合があります。装置設計をする際には、次のようなことに注意して下さい。1.ファン吸排気口と被冷却体との距離は、設計上許される範囲で最大限とるようにして下さい。近づけ過ぎると風量が殆ど出ない状態になります。目安としては羽根外径の1/2以上離すようにして下さい。2.ファンの流路が直角に折れ曲がるような設計は極力避けて下さい。圧力の損失となります。その他、装置設計する上で以下の事に注意して下さい。1.並列にファンを装備し複数使いされる場合、ファン相互による干渉で騒音が高くなる場合がありますが、ファンの間隔をあけるようにするか、又ファンの間に仕切り板を入れるようにして下さい。2.フィンガーガード及びフィルターキットをご使用される場合、スポーク又はフィンとの干渉で風切り音が発生することがありますが、スペーサー等を利用しファンとの間隔をあけることにより改善することができます。弊社の騒音値(A特性)はファンの吸込口中心線上より1.5mの位置(DCブラシレスファンを除く)で測定した値です。(図1による)又カタログ掲載の騒音値は、無響室の中で測定してます。この測定方法は、旧JIS B 8330の「送風機の試験及び検査方法」に準拠していましたが、現在、騒音に関してはJIS B 8346の「送風機・圧縮機の騒音レベル測定方法」に移行され、ファン吸込口中心線上1.5mから1.0mの位置での測定に変更されています。弊社が1.5mでの測定を採用しているのは従来発行してきました仕様書との互換の問題で変更していませんが、いずれは変更する予定です。又、ファンメーカー間における騒音測定方法は、統一されていないのが現状で、カタログ上での単純比較はできませんので、測定方法をご確認の上比較されるようお願い致します。騒音は音源中心から球面状に伝播し、その距離のほぼ2乗に反比例して減衰していく性質をもっていることより次式の換算式が成り立ち、基準となる騒音値が明確であれば相違する距離での騒音値を計算で求めることができます。dB=dB0+10・log10 (10/1)2dB :距離1時の騒音換算値(dB)dB0:距離10時の基準騒音値(dB)10:基準距離1:換算したい距離上記換算式における10と1との関係上、換算する距離が一定なら騒音増加率も一定となることがわかります。例えば1.5m時の騒音値を1.0m時の騒音値に換算するには、3.5(dB)の増加となります。上記式で求めた値は、目安レベルのものなので正確に測定した値とは異なる場合があります。ファンを2台以上運転する場合の騒音値は、次式で求めることができます。    dB=10・log10(10dB1/10+10dB2/10+10dB3/10...)    dB :求める合成騒音値(dB)    dB1:ファン1 の騒音値(dB)    dB2:ファン2 の騒音値(dB)例えば2台の合成騒音で2台共同一の騒音43(dB)のファンとした場合    dB=10・log10(1043/10×2)    =dB1+3    =46(dB)となり、ファン1台の時より3(dB)の増加となります。又、騒音値の異なるファン同士の場合には例えば1台目が43(dB)、2台目が56(dB)とした場合    dB=10・log10(1043/10+1056/10)    =56.2(dB)となり、同一ファンの場合とは違い0.2(dB)の増加しかありません。この事は、騒音値の異なるファン同士の場合、騒音レベルが大きいファンの影響が殆どであることを意味します。同様に装置設計する際は、装置内で最も騒音値の大きい部品の騒音値を押さえる必要があります。■ 距離と騒音値の関係■ 合成騒音

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